この記事は同性婚、内縁関係のパートナーに遺産を渡す方法について。
知り合いの同業者に、LGBTQ支援の専門行政書士がいます。
曰く、同性婚や事実婚の方の相続や介護、死後事務などの終活の相談が増えていると。
法律婚以外の方法を選ぶ経緯は色々あると思います。
社会も少しづつマイノリティへの配慮がされる様になりました。
だけども相続に関しては、制度が整備されておりません。
民法上、被相続人(故人)が残した財産は、親族など法定相続人が受け継ぐ形です。
事実婚や同性婚のパートナーは、民法上は親族になりません。
つまり実質的な夫婦で長年連れ添った人であっても、相続の対象外になります。
同性婚や事実婚でパートナーと共に生活を築いてきた方々にとって、万が一のことが起きた場合に財産をどう残すかは重要な問題です。
パートナーと築き上げた財産を一番大事な人に託したいものです。
法律婚でも子供がいない場合だと同じような問題が発生します。
別記事で解説しております。
ご興味ありましたら、ご覧頂けると幸いです。
またパートナーが離婚経験者の時も注意が必要です。
前婚で子供がいたとき、相続時には子供も話し合いに加わります。
相続は財産額の大きさよりも相続人同士の人間関係で難易度が変わります。
内縁関係の方が連れ添った相手に遺産を渡す為には、遺言書を作成する必要があります。
理由は正式な遺言書に書かれた内容が、相続で優先されるためです。
あと相続人以外の人に遺産を遺贈するために遺言書でその旨の記載が必要なこともあります。
パートナーに確実に遺産を渡すためには、いくつかのポイントがあります。
箇条書きにすると下記の様な感じになります。
遺言書は自筆証書遺言と公正証書遺言の二種類あります。
相続や終活を取り扱う行政書士としては、公正証書遺言を強くお勧めします。
自筆証書は便箋などの紙にペンを使って書くものです。
気軽で低コストで作成できるのがメリットです。
デメリットは様式不備で無効になるリスクや紛失、改ざんリスクがあることです。
あと検認が必要だったりと手間がかかります。
(法務局保管制度を活用すれば検認不要)
公正証書遺言は公証役場で作成する物です。
公証人のチェックが入るので、様式不備の心配がありません。
原本は公証役場で保管されるので、紛失や改ざんリスクもなし。
公証人が作成したという権威が付きます。
(公証人の権威は意外と重要)
自筆で作成する場合、遺言書の様式に則った書面にします。
遺言書は全部、自筆で作成が必要です。
誰かが手を支えて作ったものは無効になります。
民法が改正されて、財産目録だけはPCで作ることができます。
日付は正確な年月日で。
令和7年1月吉日の様に年月日が分からない物は無効になります。
署名と印鑑も必須です。
印鑑は認印でも大丈夫ですが、可能なら実印と印鑑証明をセットにすると尚良。
遺言書は連名で作成はNGです。
必ず1人で1通を作成する必要があります。
遺言書で財産を引き渡す際に使用する単語は「相続させる」と「遺贈させる」です。
譲るや譲渡すると言った単語は使うことはありません。
「相続」させるは、法定相続人に遺産を渡すときに使います。
「遺贈」させるは、相続人以外の人や法人に渡すときに使用します。
遺言書でパートナーに遺贈したい財産は明確にしておくことが重要です。
託したい財産を曖昧にすると、相続人と揉める原因になります。
ちなみに不動産を遺贈する場合、相続の時より不動産取得税が高くなります。
パートナー同士でお互いに遺言書を作ることも重要です。
人は何時亡くなるか分からないです。
自分が先にと思っていたら、相手が先に…
と言うことも珍しくありません。
パートナーに財産を残すときの注意点をご紹介します。
まずは遺留分の存在です。
遺留分とは法定相続人に最低限認められた取り分です。
被相続人(故人)の配偶者と子供は法定相続分の半分。
親や祖父母は、法定相続分の三分の一が遺留分になります。
故人の兄弟や甥姪には遺留分はありません。
遺言書を作成する際には、遺留分を考慮した物を作成することをお勧めします。
後々に遺留分侵害請求権を行使されるのは、強いストレスになります。
あと遺贈する場合、相続より税金が高くなる傾向があります。
特に不動産を処分する時や取得する時に不動産取得税は相続と比べると高くなります。
遺贈に関する税金については、税理士さんや税務署にお尋ねください。
税金の個別具体的な話は、税理士か税務署が専門になります。
(法律上、その様に規制されております)
最後に遺言書が同性婚・事実婚カップルにとって財産を守る最も有効な手段です。
パートナーに辛い思いをさせないために、早い目の準備が大切です。
思い立った日が吉日です。
以上が同性婚や事実婚パートナーに遺産を残す方法でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)
終活支援(遺言書作成、任意後見制度など)
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