この記事は遺言書と遺書の違いについて。
文字にすると、「書」が付くかつかないかの違いしかありません。
一般の方からすると、言葉遊びに見える気もしますが…
遺書と遺言書は全くの別物です。
作成する目的も少し異なるのが特徴です。
またこれらの文書と似たような物に、エンディングノートという物もあります。
こちらは遺言書に書ききれない情報を書き記すものになります。
遺書と遺言書の違いを表一覧表にするとこの様な感じになります。
項目 | 遺書 | 遺言書 |
---|---|---|
法的効力 | なし(原則) | あり |
目的 | 心情や感謝を伝える | 相続手続き |
作成方法 | 自由(音声や動画も可) | 民法にルールあり |
読まれる場所 | 家族が私的に読むことが多い | 相続手続き中 |
遺言書とは遺言者(作成者)の遺産分割の方法を記載する文書です。
書き方は民法で厳格に定められており、法的効力があるのが特徴です。
遺言書には本人が自筆で作成するもの、公証役場で作成する公正証書遺言などがあります。
相続手続きにおいて、遺言書があると遺産分割協議(話し合い)が不要になります。
また遺言書を作成することで、遺産分割協議ではできない遺産分割ができます。
遺言書があることで、残された家族が救われるケースが多いです。
(逆に無いことで残された家族が厳しい局面に追い込まれるケースも)
遺書とは故人の想いやメッセージを残す私的な文書になります。
法的な効力は基本的にありません。
(遺言書の要件を満たせば話は別ですが)
記載する内容は自由で、気持ちの整理や感謝の言葉などが書かれます。
ちなみに形式も自由で、手紙の他、ビデオメッセージなどの動画や音声で残す、ブログやHPに書き残すのもアリです。
遺書の一般的なイメージは、亡くなる間際に作成する文書のイメージが強いです。
山崎豊子氏の「白い巨頭」の財前五郎教授の最後の文書。
「華麗なる一族」の万俵鉄平の最後のメッセージなど。
どちらかと言うとポジティブなイメージが少ない印象があります。
(ポジティブな遺書もあると思いますが)
遺書と遺言書は、内容も使い方も全くの別物です。
相続手続きについての効果を期待する場合は遺言書を作成します。
相続に関係なく、家族や友人にメッセージを残したい場合は遺書を書きます。
目的に応じて使い分けが大事です。
ちなみに遺言書には、相続人にメッセージを書くことも可能です。
遺言書の「付言欄」に遺産相続の内容とは別にメッセージを残せます。
一般的に「付言事項」と呼ばれます。
遺言書において、法的効力は無くとも付言事項は大変重要な意味合いを持ちます。
相続の場において付言があるから、トラブルにならなかった話は多数あります。
法的効果の有無に関わらず、残される人へのメッセージは大切だなと思います。
弊所でも遺言書作成をお手伝いする時は、付言事項を厚くすることをお勧めしております。
遺言書と遺書は別物なので、両方作成することも問題ございません。
付言事項は遺言書にくっ付いてくるものなので、字数やボリュームに制限があります。
遺言書とは別に遺書で想いを伝えるのも良いことです。
この時の注意点は、遺言書の内容と矛盾が生じない様にすることです。
矛盾や齟齬が思わぬ問題を産み出す可能性があります。
以上が遺言書と遺書の違いについてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
大阪府行政書士会 本会相談員(身分系業務)
大阪府行政書士会 旭東支部 無料相談員(城東区役所担当)
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)
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