
この記事は配偶者居住権について解説します。
上記マンガはこの権利について簡単に解説したものです。
配偶者居住権には、短期配偶者居住権と普通の配偶者居住権があります。
こちらの記事では時間制限の無い方をご紹介します。
配偶者短期居住権はこちらの記事で解説しております。

配偶者居住権とは令和2年に新設された権利になります。
不動産の所有権とは別の権利で、法定相続分の調整を行います。
相続で死別した配偶者の生活を守るために作られました。
この権利の根拠は民法1028条から1036条に書かれております。
こちらでは民法1028条をご紹介します。
(配偶者居住権)
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
引用:E-gov法令検索:民法
配偶者居住権とは、
①②③を満たした場合、その建物の全部を無償(タダ)で使用する権利を指します。
注意点は配偶者居住権は自動的に発生するものではございません。
相続人同士での話し合いや遺言書に書かれているなど、取得には要件があります。
詳細はこの記事の下部でご説明いたします。
配偶者居住権は不動産の所有権とは別物で所有権がなくても居住できます。
(所有権と切り離すことで、死別配偶者を保護する形です。)
この権利について具体的な例を挙げて解説します。
この様な場合、一般的な相続になると、以下の様な分割になります。
奥様は家を全部相続することが出来ますが…
預貯金は1円も相続できません。
もし奥様に預貯金や年金収入が乏しい場合、自宅の維持は難しくなります。
遅かれ早かれ、自宅を手放すこと可能性がございます。
家を手放して新しい家や賃貸を借りる事になりますが…
このご時世、高齢の方は賃貸物件を借りにくいのが現状です。
また家を購入するにも不動産価格や建材の高騰で難しい部分がございます。
もしくは不動産を共有して、空いた部分を現預金で相続する方法もあります。
今回の様に母一人子一人なら、そういう方法も取ることができます。
最終的にはご子息が不動産を単独所有できます。
ただ子が複数人とかになってくると…
ご子息にご家族が居られる場合、不動産の共有は後々のトラブルの種になりえます。
またはお子さまが居らず、第3順位(兄弟相続)の相続で遺言書が無い場合…
状況はもっとシビアになります。
住み続けた家を売却して兄弟や甥姪の相続分を捻出する必要が出てきます。
(被相続人との関係性が遠くなるとドライな相続になりがち)
お子さまが居ないご夫婦は、遺言書は必須アイテムです。
パートナーの生活を守るために遺言書を作っておきましょう。
文面自体はシンプルなもので大丈夫です。
次は上記の相続事例で配偶者居住権を使用した場合になります。
相続財産で家はお子さまが取得して、奥様は配偶者居住権と預金の一部を相続する形になります。
配偶者居住権を付けることで、奥様は預金を多い目に相続することができます。
配偶者居住権の計算や不動産の評価方法はアバウトですが…
奥様は住み慣れた家に住み続けることができ、生活費や家の維持費を確保できます。
ご子息は不動産を手に入れ、お母様は平穏を手に入れることができます。
配偶者居住権を使うことで、相続人全員がウインウインの関係になり円満な相続を実現できます。
万が一、兄弟相続などになった場合でも配偶者居住権があれば…
奥様は自宅で住み続けることが可能です。
(配偶者居住権は一方的に排除できないので)

ここからは配偶者居住権の要件について見ていきます。
下記の要件が全部揃った段階でこの権利を取得できます。
まずは法律婚が成立していること。
これは被相続人の戸籍に妻・夫と記載されていることです。
内縁の夫婦や事実婚、同性カップルは対象外となります。
跛行婚(はこうこん)については未確認です。
次に亡き配偶者所有の家に居住している。
これは相続開始時点で、被相続人所有不動産に居住していることです。
相続時に居住していない場合は、対象外となりますのでご注意ください。
次に遺産分割協議書や遺言書で、残されたパートナーに配偶者居住権を付与する旨の記載が必要です。
要は相続人同士の話し合いで居住権を付けることを決める。
もしくは予め遺言書に書いておく必要があります。
遺産分割協議(話し合い)で決着が付かない場合、家庭裁判所の審判に委ねることになります。
審判の結果、配偶者居住権を取得できる可能性がございます。
家裁の審判を代理してもらいたい時は弁護士先生にお願いすることに。
提携の弁護士にお繋ぎいたします。
最後に配偶者居住権の設定の登記が必要です。
居住予定の不動産の登記簿に居住権を登記します。
登記簿の「配偶者居住権」が書かれている状態にします。
これが無いと相続人以外の第3者に権利を主張できません。
(法律用語では第三者に対抗すると言います)
登記は法務局で行います。
この手続きを代行する場合、司法書士にお願いします。
弊所の場合、友人の司法書士に代行してもらっております。

ここからは配偶者居住権のメリットとデメリットを紹介します。
まずはメリットから
メリットは残された配偶者の生活が守られることです。
弊所でも同業者でも、子供が居ない夫婦で遺言書がない故にご苦労されているのを時折見ます。
当時に配偶者居住権があれば、家を売る必要は無かったのかなと思う事も。
あと一度取得すると一生涯、自宅に住むことができます。
法的な保証は、残されたパートナーにとっては心強いことだと思います。
利点があれば欠点もあります。
配偶者居住権は相応にデメリットもございます。
概ねこんな感じですかね。
まずは取得のハードルがそれなりに高いことです。
配偶者居住権は自動的に付与されるものではなく、相続財産と同じような流れを経る必要があります。
遺産分割協議で相続人が反対した場合は、取得難易度が上昇します。
審判という手もありますが、時間と費用がかかりますし、確実に取得できる保証はございません。
もう一点、落とし穴があります。
相続開始時に不動産が配偶者以外の人と共有状態の場合、配偶者居住権の取得は不可です。
不動産の現金化は難しい。
配偶者居住権は無償で住み続ける権利です。
所有者が不動産を売却したいと思っても…
中々難しいと思います。
配偶者居住権はそこに住み続けられる権利になります。
それ以外の活用法は原則できません。
(誰かに貸す、担保に入れるなど)
これらの事をしたい場合は、所有者の承認が必要です。
また建物の増改築についても同様です。
所有者は一定の事由がある場合、配偶者取消権を消滅させることができます。
(民法第千三十二条に規定があります)
最後に費用負担の問題です。
配偶者居住権は無償で住むことが出来ますが…
ありとあらゆるコストから解放される訳ではありません。
民法にも費用負担について規定がございます。
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
引用:E-gov法令検索、民法
以上が配偶者居住権についてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
大阪府行政書士会 本会相談員(身分系業務)
大阪府行政書士会 旭東支部 無料相談員(城東区役所担当)
【大阪府行政書士会より表彰】

【ご依頼者さまから頂いたお手紙】

【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)
終活支援(遺言書作成、任意後見制度など)
国際結婚や永住許可など身分系在留資格のサポート
年間相談件数は、500件を超える。
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