この記事は相続手続きの財産調査について漫画を使って解説します。
相続人調査は、故人(被相続人)が保有していた資産と負債を一覧表にする仕事です。
(財産にはプラスとマイナス、両方の財産が存在する)
ここで作成した一覧表は相続手続きにおいて非常に重要な役割を果たします。
相続を承認するか放棄するか、誰がどの財産を受け継ぐか、相続税が掛かるのか?等など。
相続手続きには複数のステップがあります。
相続手続きのステップは別記事で解説しています。
上記の図にもある様に、遺言書が見つからなかった時は、遺産分割協議コースに進みます。
そして相続人同士の話し合いする前に二種類の調べ物を行います。
相続人調査については、別記事で解説しております。
ご興味がございましたら、こちらもご覧ください。
相続人情報と相続財産の一覧が入手できたら、次は遺産分割協議です。
こちらのマンガは相続財産調査について簡単に解説したものです。
調査の必要性と調査する財産の性質等など
(マイナス財産は調べるのが難しい)
この漫画だけで相続財産調査は難しいですが…
相続財産のリサーチがどの様な物かザックリですが分かるかなと思います。
何となくでも、することが分かれば手続きを進めることが可能です。
(面倒で手間が掛かり過ぎるから、行政書士に相談するとかも)
故人の相続財産には預貯金や不動産などプラス財産だけでなく、ローンやキャッシングなどの借金(マイナス財産)があります。
マイナス財産には借金の他にも、病院や施設の未払い費用、葬儀費用なども含まれます。
また生命保険金の様に、相続財産に含まれない物もあります。
(生計保険は相続税の対象とややこしいです。)
相続財産の種類をざっくりとですが、下記の表にまとめました。
・現金
・預金(銀行、ゆうちょ銀行)
・不動産(土地建物)
・有価証券(株券や投資信託、国債など)
・借地借家権
・著作権
・各種動産(車、宝石、美術品など)
・借金(住宅ローンなど)
・借金(キャッシングなど)
・借金(個人対個人)
・損害賠償請債務
・税金
・未払いの病院、施設代など
・未払いの各種費用
・連帯保証人の地位など
・死亡保険金(財産の対象外だけど相続税は対象)
・未支給年金など
・祭祀財産(墓など)
・一身専属の権利(建築士資格や医師免許など)
・その他
これとは別にケースバイケースで相続財産になったり、対象外になる物もあります。
死亡保険金やゴルフ会員権など。
相続財産で代表的な物は、以下の物になります。
まずは相続財産の内、預金や貯金について。
最初に行うことは、故人(被相続人)の預金口座を探すことから始まります。
エンディングノートや銀行口座一覧みたいなものが有れば楽ですが…
(殆どのケースでは、自力で家の中を探すことになります。)
預金通帳やキャッシュカードは分かり易いです。
または銀行の封筒や葉書、カレンダーやノベルティグッズ等も要チェック。
あとは金融機関のメールが来ていないかも確認しましょう。
最近は通帳を発行しない銀行やネット銀行なども増えています。
昔に比べると探すのも大変になってきました。
被相続人(故人)が使っていた口座が判明した後は、残高を確認します。
金融機関から残高証明書を発行して貰います。
・申込書(銀行の窓口かネットからダウンロード)
・被相続人の戸籍謄本(死亡証明)
・相続人の戸籍謄本(関係者の証明)
・印鑑証明書
(戸籍関係は法定相続情報で代用可能)
銀行事に必要書類が変わりますので、事前確認が必須です。
提出先は銀行の窓口もしくは銀行の相続センターになります。
最近の銀行は、相続手続きの増加に伴い集中的に処理できる部署を作ってることが多いです。
相続調査で預金残高証明書を取得する時に、本人が亡くなったことを伝える必要があります。
伝えた瞬間に故人の口座が凍結されます。
請求する前に凍結されても大丈夫か今一度確認が必要です。
預金残高証明書の取得と同時に名義変更の手続き方法も聞いておくとヨシ。
手間が一辺で済みます。
次は相続財産の不動産調査です。
調査で調べることは、不動産の存在と権利関係と価格になります。
まず不動産の存在は、不動産の登記簿や権利証などです。
他には市区町村からの固定資産税の通知なども参考になります。
あとは不動産の売買契約書などが出てきた時も注意が必要です。
権利証などが見つからない時で市町村が判明している時は、税務課や都税事務所や市税事務所などで名寄帳という書類を取り寄せます。
市町村の名寄帳とは故人が所有する不動産の一覧になります。
市区町村内にある不動産が全部判明します。
複数の不動産を持っている時は、ありそうな市町村に名寄帳を請求します。
次に不動産の権利関係についてです。
こちらは法務局で登記簿謄本を取得します。
登記簿謄本には、土地建物の基礎情報(土地建物の種類や広さ等)や権利関係(所有、抵当権、共有など)が書かれています。
不動産の権利関係と識別は登記簿を用います。
登記簿は法務局で誰でも入手可能です。
注意点は未登記の建物が存在します。
未登記の場合、その建物の登記は出てきません。
次は相続財産調査における不動産価格です。
不動産の価格は3種類あります。
まず固定資産税の評価額です。
市区町村が固定資産税の計算するために、管轄内の土地建物の評価額を定めております。
年1で送られてくる固定資産税の請求書の中に、固定資産税評価証明書という書類があります。
その中に土地や建物の評価額が書かれています。
地方自治体が出した価格で客観性があり、相続税が絡まない相続では評価額が使われることが多いです。
評価証明書が無い場合は、市役所などで取得できます。
固定資産税の評価額は、実勢価格(時価)の7割程度と言われています。
(役所が付けた値段は時価より安い傾向にあります)
こちらは相続税の計算で使われるものです。
路線価で出てくる不動産価格は、実勢価格の8割になります。
ザックリと説明すると、道路に価格がつけられています。
一般的には路線価と呼ばれるものです。
路線価は税務署か国税庁のサイトで確認することが出来ます。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
上記URLは全国の路線価を検索できるサイトになります。
弊所があるマンション(アパート?)の路線価は1700になります。
1平方メートルあたりの路線価に土地の面積を掛けると路線価での評価額が分かります。
実際は土地の形や複数の路線価が存在するなど、かなり複雑になります。
正確な計算は資産税が得意な税理士さんにお願いしましょう。
最後は不動産の実勢価格になります。
評価方法は簡易な方法とガチガチに決める方法の二種類あります。
簡易な方法は、宅建業者(不動産屋)に査定をお願いする方法です。
もう一つの方法は、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法です。
コストがかかりますが、客観的な実勢価格が判明します。
(鑑定士に依頼する時は、相続争いが発生しているケースが多い)
争いがない相続手続きの時は、実勢価格を使うことはめったにないです。
次は故人の有価証券について。
故人が株や投資信託、国債を持っているか調査していきます。
最近は投資ブームなどもあり、株取引などする人が増えてきました。
まずは家に証券会社の口座や金融機関からの郵便物やパンフレットが無いかを探します。
もしくはエンディングノートなどに証券会社や信託銀行の事が書いてあることも。
最近はネット系の証券会社もありますので、PCやスマホのアプリやLine、メールにも注意が必要です。
スマホの解約は最後の最後まで待つのがヨシ!
スマホの中に相続に必要な情報が出てくることも。
解約すると分からなくなるものも…
証券会社や信託銀行が判明しましたら、残高証明書を取得します。
必要な書類は、故人の戸籍謄本(除籍)や相続人の戸籍等などが必要です。
有価証券を持っているのは分かってる。
けど何処の証券会社か分からないということもあります。
この場合は、保管振替機構(ほふり)に情報開示請求を行います。
登録済加入者情報通書の中に、証券の種類と証券会社の名称が書かれています。
https://www.jasdec.com/procedure/shareholders/
上記URLは保管振替機構の相続ページです。
相続手続きで必要な場合は、上記URLをタップしてご確認お願い致します。
有価証券の名義変更について。
有価証券の名義変更は、同じ証券会社の口座間でしか行えません。
なので口座を持っていない場合は作成が必要になります。
相続の手続きはどうするのかを残高証明書を入手する時に聞いておくと良いでしょう。
銀行口座や証券会社の口座は紙の通帳があるとは限らないです。
最近はカードのみ、ネットだけで完結するサービスも増えてきました。
他にもショッピングや航空会社のポイントなどデジタルの遺産も増加傾向にあります。
デジタル遺産の調査も重要な作業になります。
ここからはマイナス財産(負債・債務)についてです。
相続判断(承認か放棄)を考える際にプラス財産より重要な部分だと思います。
銀行やカード会社、ローン会社など登録してる系の負債は探すのは難しくないです。
(少々の手間を惜しまなければ)
まずは家にある銀行やカード会社の通知を探します。
スマホとPCのメーラーもチェックします。
あとは不動産登記簿の乙区欄(権利事項が書かれた欄)に抵当権や短期賃借権が打たれていないかチェック。
抵当や短期賃借権は借金の担保に打たれるものです。
これで負債の存在が分かることもあります。
(短期賃借権は相当ひどい話になるかも)
銀行やカード会社に借り入れが有るか調べる方法もあります。
信用情報調査機関と言うものがあります。
(債務者の履歴を確認する機関)
これらの機関に情報開示請求を行うことで、負債の有無と会社が分かります。
借入先が分かった後は、会社に残高証明書を発行してもらいます。
相続手続きになるので、故人の戸籍(除籍)や相続人の戸籍などが必要になります。
会社事に必要書類が異なるので、事前確認が必要です。
登録された企業の債務調査は、比較的に正確な情報が入手できます。
個人間の借り入れや連帯保証人などは、探すのが難しいです。
登録機関にデータが無いので、個人の自宅などに書類が無いか。
家族が知っているかでないと、見つけるのは困難です。
もし故人にこの手の負債がありそうだけど書類が出てこない…
最初から相続放棄を検討するのもアリかと思います。
(個人的な経験だと自営業系は怖いです。)
借金では無いけど、これらの未払い費用もマイナス財産になります。
相続財産から差し引かれる物になりますので、マイナス財産の一つです・
誰が負担するか話し合いが必要になることが多いです。
最終的には、故人の財産で支払うことが多いです。
(一時的に立て替えすることも多い)
または故人の不動産を売却する時に発生する費用もあります。
不動産屋への仲介手数料、司法書士への手数料、土地家屋調査士への報酬(境界関係や滅失登記)、建物の解体費用、税金(譲渡所得税など)。
不動産を売るときは、想像しているよりも経費が掛かります。
例えば3,000万円で売れても実際の手取りは、2000万円台前半になることが多いです。
一通りの財産調査が完了しましたら、調査結果を一覧表にまとめます。
相続財産目録や財産目録と言われるヤツです。
プラス財産とマイナス財産を分かり易くまとめたものです。
財産目録は遺産分割協議や相続税申告の基礎資料になります。
様式は決まっていないので、任意の形で作成すれば良いでしょう。
適当なテンプレートに記入でもヨシです。
相続財産調査は骨の折れる作業になります。
ここで財産が漏れると後々に遺産分割協議のやり直しリスクがあります。
手間が掛かりますが、丁寧に進める必要があります。
忙しくて時間が無い、やり方が良く分からない、精神的に辛い時にこんな作業をしたくない。
この様な場合は、行政書士にアウトソーシングするのも手です。
行政書士やまだ事務所でもお承りいたします。
ご遠慮なくご連絡ください。
以上が相続財産調査をマンガで解説でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)
終活支援(遺言書作成、任意後見制度など)
国際結婚や永住許可など身分系在留資格のサポート
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