この記事は相続人調査(戸籍収集)についてご紹介します。
相続人調査は、遺産分割協議や名義変更をする為に重要な仕事です。
例えば名義変更に必要な遺産分割協議は、相続人全員の同意(署名と印鑑)が必要です。
相続人に漏れがあると、協議書は無効で名義変更ができず話し合いをやり直す羽目に。
もし相続人の中に18歳未満の相続人が居た場合、特別な対応が必要になります。
また相続前の銀行預金の払い戻しにも相続人調査が必要です。
故人と相続人の戸籍と印鑑証明が無いと、銀行が引き出し拒否されます。
相続人調査が必要な理由と大変さをマンガにまとめました。
最低限の情報は詰め込んだつもりです。
被相続人(故人)の遺言書が見つからなかった時、相続人の調査を行います。
下記の画像で言うと、遺言書なしルートの2番目になります。
(遺言書があると、この調査を省くことができます)
ここで相続人の調査を省けない理由をご紹介します。
遺言書が無い時は、相続人全員で話し合いが必要です。
話し合いの事を遺産分割協議と言いますが、協議の結果を書面にして相続人全員の同意が必要です。
同意は署名と印鑑と印鑑証明で行います。
ポイントは相続人全員の印鑑と印鑑証明書が必要な点です。
1人でも抜けがあると、協議書は無効です。
何の効力もない単なる紙切れです。
(弱みに付け込まれ、ハンコ代を請求されるケースも…)
故人(被相続人)の相続人を漏れなく見つける必要があります。
そのために相続人調査が必要なのです。
相続人の調査結果は、色々な所で求められます。
市役所、法務局や裁判所を始めとした役所。
ゆうちょ銀行、銀行、証券会社、保険会社など金融機関。
名義変更が必要なサービスを提供する民間企業。
相続財産の調査で戸籍提出が求められます。
遺族側からすると、相続人が誰か分かり切ったことですが…
我々の事を知らない第3者は、誰が相続人か分かりません。
後々のトラブルを防止するために、相続人全員が判明していることが求められます。
相続人が漏れた状態だと相続手続きができないこともありますが。
遺産分割協議書のやり直しはトラブルのリスクがあります。
(トラブルの対応は弁護士の独占業務)
相続人調査は、被相続人と相続人の戸籍で行います。
ここで取得する戸籍は戸籍謄本になります。
戸籍は戸籍謄本と戸籍抄本の2種類あります。
戸籍抄本は本人の情報だけ記載されたもので、謄本は戸籍に入っている家族全員の情報が書かれています。
相続人調査で使うのは、戸籍謄本です。
実は日本の戸籍制度は何度も改正されております。
改正の度に戸籍の様式が変わっています。
年配の方だと、場合によっては明治31年式の戸籍まで遡ることがあります。
明治と大正、現行戸籍の途中までは手書きで書かれています。
また旧字だったり存在しない市町村だったりと判読が難しいケースも
電子化される前の戸籍は、改正原戸籍と呼ばれる戸籍になります。
区役所で入手する時は、改正原戸籍も一緒に請求しないと遡れないこともあります。
上記の図は被相続人(故人)の必要な戸籍を一覧表にしたものです。
故人の戸籍の集め方は、上記の方ですと…
この様に5種類の戸籍が必要になります。
相続人調査は、戸籍を一つ一つ辿ってゆく作業になります。
まずは亡くなった時の戸籍(除籍)を取得します。
戸籍には前の戸籍が何処にあるか書かれています。
(本籍地や筆頭者、戸主の情報など)
そこに書かれた情報を元に、次の役所に戸籍(除籍)を請求します。
前の戸籍にも前々の戸籍の情報が書かれています。
次は前々の戸籍を取得します。
この作業を延々と繰り返し、被相続人(故人)が出生したと書かれた所まで戸籍を取得します。
市役所などに申請書を提出します。
故人の直系(親・子・孫)の親族は委任状無しで請求可能です。
兄弟などが収集する時は、直系親族の委任状が必要になります。
行政書士等の専門家が収集する時は、専用の請求用紙(職務上請求書)で委任状無しで入手できます。
戸籍取得は、郵送と窓口の2種類あります。
近くの役所なら窓口でも良いですが、遠方になると郵送請求を使うことになります。
戸籍謄本1通の手数料は、750円程度になります。
郵送で請求する時は、定額小為替を購入して封筒に入れておきます。
郵送請求する時は、2通から3通分と多い目に入れておくとよいです。
(同じ役場で複数の戸籍謄本や除籍謄本が出てくることがあるため)
最近の市役所は親切で、戸籍課に相続相談コーナーがあったりします。
戸籍の申請書に、入手できる戸籍全部の欄にチェックを入れると、そこで手に入る物は全部用意してもらえます。
戸籍収集の注意点をご紹介します。
(さっきから注意点ばかりな気もしますが…)
昔の戸籍は役場の職員が手書きで書いていました。
昔の文字を使われていたり、達筆な文字が少なくないです。
ぱっと見では、何が書いてあるか分からないことがあります。
市町村は名前の変更や合併を繰り返しております。
明治22年には15,859の市町村がありました。
その間に昭和の大合併、平成の大合併などで、2023年現在で1,718まで減りました。
戸籍に書かれた市町村が存在しない事が普通にあります。
現在は存在しない市町村の戸籍も取得できる役場が存在します。
その役場を探す必要があります。
(専用の辞典もあります)
戸籍の養子縁組や認知届にも注意が必要です。
戸籍の事項欄にチョロッとしか書かれておらず見落とす可能性があります。
(プロでも見落とす場合あり)
しかも次の戸籍には影も形も残りません。
戸籍は読みづらくても全部読み込む必要があります。
養子も認知された子には、相続権が発生します。
もし養子や認知を漏れてしまったら、相続のやり直しになります。
(遺産分割協議のやり直しはトラブルの元)
結婚すると戸籍が新しく作られます。
これはご存じだと思います。
独身の方は、親の戸籍に入ったままになります。
ただ成人になると戸籍を分ける事ができます。
戸籍を分けることを分籍と言います。
分籍されていた時は調査する戸籍がもう一つ増えます。
本籍地は固定ではなく、動かすことが可能です。
本籍地を動かすことを本籍の異動と言います。
皇居や甲子園球場、大阪城に本籍を置く話を聞きます。
戸籍を異動させると、調査する戸籍が増えることになります。
最後に災害や空襲などの原因で当時の戸籍が残っていないことがあります。
最近まで戸籍は紙で作られておりました。
そのため水害で流されたり濡れて読めなくなったり、
役場が火災や空襲で焼け落ちて、戸籍も消失したりすることがあります。
または戸籍の保管期間が過ぎて廃棄されていたケースもあります。
この様な原因で戸籍を辿ることができなくなる事も珍しくないです。
この場合は役所から、消失した原因と戸籍が存在しない旨の証明書を発行してもらいます。
この証明書があれば、戸籍が全部そろわない場合でも名義変更や資産分割協議が可能です。
財産調査は奥深く、この分野だけで本が何冊も書けるくらいのボリュームがあります。
ここでは相続人調査で取り敢えず必要になる部分をご紹介しました。
以上が相続人調査をマンガと図解を使って解説する記事でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士やまだ事務所 所長
行政書士 山田 和宏
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)
終活支援(遺言書作成、任意後見制度など)
国際結婚や永住許可など身分系在留資格のサポート
年間相談件数は、500件を超える。
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