相続手続きのメインイベント、遺産分割協議について漫画を使って解説します。これは相続人全員で個人(被相続人)の財産をどのように分けるのか相談するもので、結果を遺産分割協議書という書面に落とし込み相続人全員のハンコと印鑑証明書を付けます。

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相続の遺産分割協議とは

相続の遺産分割協議とは

この記事は遺産分割協議のやり方を解説します。


遺産分割協議は相続手続きのメインイベントです。
相続人全員が集まって被相続人(故人)の遺産をどの様に分けるかを話し合う場です。
そこでまとまった話を遺産分割協議書という書類に書き記します。
遺産分割協議書は名義変更に必須書類なので、協議を端折ることはできません。
順番としては相続人調査と相続財産調査の次に行うものです。

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遺産分割協議が終わると遺産の名義変更、相続税など税務手続きになります。
税金の処理が終了すると相続手続きは完了です。

ちなみに有効な遺言書があると、遺産分割協議なしで名義変更が可能です。
相続人の状況によっては遺産分割協議が進まなくなるケースもあります。
遺言書があれば非常にスムーズに進みます。

関連記事:行政書士が遺言書作成を勧める理由

漫画、遺産分割協議とは

漫画、遺産分割協議とは

遺産分割協議についてザックリとまとめたマンガ。
これを見ただけで全てを知ることは不可能ですが、何となくは分かるかなと思います。

遺産分割協議で一番大変なのは、相続人全員の同意が必要なことです。
同意した証拠は分割協議書の最後に署名と印鑑と印鑑証明のセットが必要です。
(同意した態を装って適当に署名するはできません)

一人でも足りなければ、協議のやり直しになります。
また話がまとまらないと何時まで経っても相続が終わらないリスクもあります。
遺産分割協議が揉めてケンカになった時は、弁護士さんに相談する必要も出てくるかもです。
(マンガのピクトグラム弁護士は、江戸時代の魚か味噌売りの人みたいですが…)

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遺産分割案に納得できない時は、色々と考えることが増えます。

関連記事:不公平な遺産分割案が提案された時

遺産分割協議の5W1H

遺産分割協議の5W1H

遺産分割協議のやり方を簡単に解説します。
分かり易いかなと思ったので5W1Hにしてみました。
(懐かしいですね、中学校の英語の授業を思い出します)


  • いつ:相続人が集まった時
  • いつまで:実質的には相続開始から10か月以内
  • どこで:場所の決まりはない
  • 誰が:相続人全員参加
  • 何を:被相続人の財産を分ける話をする
  • 何故:故人の財産を受け継ぐため
  • どの様に:面談、手紙、電子メール、オンライン(zoomなど)
  •   (最終的に紙の書面にまとめる必要あり)

遺産分割協議はいつ行うか

相続人が集まりやすい時が良いです。
タイミング的には、葬儀が終わって四十九日の法要が終わった後が多いですね。
(親戚や相続人が一番集まり易いから)

相続人全員が近場に住んでいて、やり取りがある関係性なら法要に関係なく集まれますが。
そうではない場合は、四十九日後が一番やり易いです。

遺産分割協議はいつまでに終わらせる?

遺産分割協議は法律上は期限がありません。
極端な話だと何年も何十年も終わらないケースもあります。
(揉める時はトコトン揉めるのが相続)

民法上は締め切りが有りませんが…
相続税が発生する規模の遺産分割協議は実質的な期限があります。
相続が開始してから10か月以内です。
実質は申告が必要なので8か月か9か月と言ったところでしょうか。

相続税の相談と申告は税理士さんです。
基礎控除を超えそうな場合は、予め税理士さんに問合せが良いと思います。


基礎控除
3600万円+相続人一人600万円
相続人3人だと、3600万+1800万円=5400万円

遺産分割協議はどこでする?

場所についても決まりはありません。
どこでも好きな場所で進めることができます。
(会話ができるならオンラインという手も)

一般的には故人の家、親族の家等が一般的です。
自分の家に上げたくないなら、レストランの個室や公民館などの貸会議室ということも。
少人数なら弁護士事務所の会議室などを使うこともあります。
(協議が本決まりで最後の意思確認など)

比較的に集まり易い場所で行うと良いでしょう。
あとは話題がデリケートになりますので、話が外に聞こえないような場所を選びましょう。

遺産分割協議は誰とするの?

遺産分割協議は被相続人(故人)の相続人全員参加です。
全員の同意が無いと遺産分割協議は無効になります。

相続人は故人の戸籍を辿って判明した人になります。
相続人調査は、協議する前に必ず行います。
(相続人に漏れが出ないか、親族が知らない相続人がいる可能性も)

遺産分割協議で何を話す?

文字通り被相続人の遺産をどの様に分けるかを話し合います。
(面談の他、手紙やメール、オンラインで話し合うことも)
協議の前に相続財産調査で、故人のプラス財産とマイナス財産を特定させておきます。
それを一覧表にした物が相続財産目録と言います。

自宅の土地と家は配偶者に。
貯金の半分は配偶者。
残りの貯金と有価証券を子供が等分する。
この様な感じで話を進めて行きます。

話が決まりましたら、遺産分割協議書という書類に記載します。
最後に相続人全員の署名(手書き)と印鑑、印鑑証明を付けた書類を各自1通ずつ持ち帰ります。
ここで作成した遺産分割協議書は、名義変更で必要になります。

なぜ遺産分割協議を行うのか?

遺産分割協議を行う理由は複数あります。


  • 不動産や金融資産の名義変更で必要
  • 相続税の申告で必要
  • 後々の紛争を予防するため

まずは不動産の相続登記(名義変更)や銀行預金の名義変更で、遺産分割協議書の提出が求められます。
次に相続税の申告でも遺産分割協議書が必要になります。
正式な協議書が無いと、金融機関も法務局も税務署も受付してもらえないです。
遺産分割協議を行う一番の理由は名義変更する為です。
(不動産の名義変更手続きは司法書士さんの独占業務です)

次に正式な協議を行ったことを文書で残すことで、後々のトラブルを避けるためです。
遺産分割協議書には、承諾したことを示す署名と印鑑、印鑑証明書を付けます。
自分の手で承諾したことを示し、実印を捺印して市役所から印鑑証明書を取ってくる。
ここまで自分でやったのだから、後で文句は言わないでね…
この様な感じですね。

遺産分割協議はどの様に話し合いする?

5w1Hのラスト。
どの様に話し合いをするかです。
全員集合で顔を合わせて話し合いがベストです。
相手の様子も見れますし、協議書のハンコもその場で貰うことができてスピーディーです。

ただスケジュールの関係や遠距離の方が居られるなど、全員集合が難しいこともあります。
この場合は面談以外の方法を使用します。
よくあるのが手紙でのやりとり。
(疎遠な方との協議は手紙が多い)

PCが得意な人なら、メールやzoom面談でも可能です。
(会ったことが無い人の場合、本人確認が難しい)

最後は遺産分割協議書に印鑑が必要になりますので…
協議書もしくは証明書を郵送して署名、印鑑、印鑑証明書を送って貰う必要があります。
メールでPDFデータは不可、必ず原本が必要です。

遺産分割協議書の特殊な参加者たち

遺産分割協議書の特殊な参加者たち

遺産分割協議は相続人全員参加と申しました。
参加者の中には特殊な立ち位置になる人達がいます。


  • 未成年者
  • 行方不明者
  • 意思能力が無い人(認知症など)

上記の方は単独で遺産分割協議に参加できません。
家庭裁判所で然るべき手続きを経る必要があります。
家庭裁判所での手続きは、利害関係人、弁護士、司法書士が対応可能です。

未成年者の特別代理人

未成年者は家庭裁判所で特別代理人の選任が必要です。
未成年者は親(法定代理人)が法的な判断や責任を持ちます。

相続の場合、親の利益と子の利益が対立することに。
親が子供の代理人をすることで、子に不利な条件で手続きする可能性があります。
子が不利益を被らない様に、利害関係がない第3者を代理人に立てる必要があります。
これが特別代理人です。

不在者の財産管理人を選任

次は相続人の中に行方不明者、音信不通の人がいた場合です。
遺産分割協議は、戸籍で判明した相続人全員の参加が必須です。

相続人の中には連絡が付かない人、何処に住んでいるのか何をしているのか全く分からない人もいます。
音信不通の人がいると、何時まで経っても相続が出来ないのか?
そんなことはありません。

家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立てます。
不在者をあらゆる手を使って探しましたが、見つけることが出来なかった事を示すことで選任可能です。
こちらの手続きも利害関係人(相続人)、弁護士、司法書士が可能です。

失踪から7年経っている場合は、失踪宣告をする場合もあります。
(こちらはドラマや小説で時折出てくるのでご存じの方も居られるかと)

相続人の意思能力がない

相続人が高齢で意思能力が怪しくなる人も居ない訳ではありません。
認知症などで、判断できなくなった状態で遺産分割協議は難しいです。

この場合は、成年被後見人の申し立てを行います。
対象者の意思能力が無いことを医師が診断書等が必要です。
こちらの手続きも利害関係人や弁護士、司法書士が行えます。

遺産分割協議がまとまらない場合

遺産分割協議がまとまらない場合

最後に遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合について。
遺産分割は相続人の利益がダイレクトに影響します。
相続人同士の思惑や立場の違いで意見が対立することも。
ケースによっては、何時まで経っても協議が終わらない何てことも…

この場合の対応方法は複数あります。


  • 話がまとまるまで頑張る
  • 家庭裁判所に調停を申し立てる

まずは話がまとまるまでトコトン話し合うです。
意見の対立が小さい、解決可能な場合もあります。
少し時間を空けてクールダウンしてから再開するのもありです。

最後の手段は、家庭裁判所に調停を申し立てることです。
当事者だけで解決が不可能となった時は、権威ある第3者を間に挟んで進める方が早いことも。
調停の申し立ては、利害関係人か弁護士になります。

以上が遺産分割協議についてでした。
遺産分割協議書の書き方は、別記事でご紹介します。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

 

行政書士やまだ事務所 所長

行政書士 山田 和宏

 

日本行政書士会連合会 13262553号

大阪府行政書士会 6665号

申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)

大阪府行政書士会 国際研究会会員

大阪府行政書士会 法人研究会会員

 

【適格請求書発行事業者】

インボイス登録済

番号:T1810496599865

 

【専門分野】

相続手続き(相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書、各種名義変更)

終活支援(遺言書作成、任意後見制度など)

国際結婚や永住許可など身分系在留資格のサポート

年間相談件数は、500件を超える。

 

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